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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
「……あまり気に病むな。誤解を招くようなことをしてしまった私の責任だ」
リリアの胸中を察したのか、レオンは優しくそう言った
「ええ……」
「ハァ……稽古はまた今度つけてやろう。とりあえずこれは肌身離さず持っておけ」
彼女から剣を取って鞘に収め、またその手にしっかりと握らせる
「お前を守りたい。私の気持ちだ」
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それからまた数週間が過ぎた頃ーーー
それはリリアが一人で廊下を歩いている時に起こった
「……あ」
角を曲がった先でばったりと出くわしたのは、レオンの異母弟、ジェーニオ
「あれ、君まだいたんだ」
普段大学へ通っているジェーニオはこの屋敷には滅多に顔を出さない
廊下に置かれた彫刻を前に佇む彼を前にしてリリアは目を細めた
「こんなところで……何をしているの?」
「口の利き方に気をつけろ。いくら兄上のお気に入りでも、僕はお前とは身分が違うんだ」
「……」
相変わらずの傲慢っぷり
レオンもかなりの上から目線だが、彼はまた全く違う