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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑



ロンブローゾ氏はファルツ家専属の医者である

彼の祖父の頃から、代々この仕事を受け継いでいた



ロンブローゾ氏は白くなり始めた長い髭を撫でながら小さい目を細めて様々な器具を見ていた



「それで、何か分かったのか」



レオンとミゲルが彼のもとを訪れ、その様子を後ろから眺める



「ふむぅ……ま、さほど複雑なもんじゃないですな。何が使われたか判別するのに大した時間はかかりませなんだ」

「だったら何故すぐ報告に来ない! こっちは何時間もこの空腹に耐えてだな……」

「おい……!」



また下らないことを言い出したレオンをミゲルが小声で制す



「ただまぁ……その毒となるモンの入手先が…もしかしたら問題かもしれませんぞ」

「……? どういう意味だ?」

「これは彫刻の補強や絵画の……そう、美術品によく含まれる材料なんですよ」

「……!」



二人はハッと顔を見合わせた

レオンの予想と一致したのか、ミゲルが険しい表情を浮かべて頷く



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