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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑



「レオン待て! 飲むな!」



彼の唇が液体に触れるその瞬間、ミゲルが飛び込んできて彼の手からグラスを叩き落とした

グラスがけたたましい音を立てて転がり、一面に深い赤色が広がる



「飲むな……毒が入っているかもしれない」

「……っ!」



リリアはぞっとして思わず口元を押さえた

だがレオンは片眉を少し持ち上げただけでほとんど表情を変えなかった



「そうか……だがもっと他に止め様はなかったのか? せっかくの晴れ着が台無しじゃないか」

「……こんな時に服の心配をしている場合かっ」



ミゲルは呆れて片手で頭を抱える



「グラスから微かに異物の匂いがしたからロンブローゾ医師のところへ持っていった。今何の毒か調べている。とりあえず分かるまでは食事禁止だ」

「なっ……」

「いちいち文句を言うな!」



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