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果てのない海に呑まれて
第14章 契り夜
その日の夜−−−
レオンは書斎の机の前に座りミゲルと話し合っていた
「今すぐ問い質してベルナルド様に報告するべきだ」
「まだジェーンが犯人だと決まった訳ではない」
「そう思いたくないだけだ。この屋敷に刺客が入り込んだのは明らかなんだから、早急に探さないと……」
「探そうとしていないわけではない。ただジェーンにしては動機が浅いし、美術品の成分を使うなんてあからさま過ぎる」
自分の命が狙われたというのにゆったりと構えている主人にミゲルは苛々と机を叩く
「あの方の後ろに誰がいるか、忘れたわけではないだろう?」
「……まあな。だが彼女はまだ何もしていない…少なくとも今までは」
レオンはため息をついてミゲルを見上げた
「柄にもなく、何をそんなに苛立っているんだ?」
「…っ……今までもこういうことは何度かあった……だかここまでギリギリだったことは……っ」
「別にお前のせいじゃない。私の不注意だ、気にするな。お前は毒を見抜いてよくやった」
それから、とレオンは話を戻す
「実はジェーンよりも犯人の可能性が高い人間がいる。だから奴は違うと言ったんだ」
「……それは何か確かな証拠でもあるのか?」
「勘だ」
「お前いい加減に……」
「私の勘が間違っていたことがあるか? とにかく、まずはその裏付けの為に動いてもらう」
そう言ってミゲルに詳しい説明を始めたところで、部屋の外で微かな物音が聞こえた
二人はハッとして口をつぐみ、顔を見合わせる
「……誰だ」
レオンが低い声で問い掛ける