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果てのない海に呑まれて
第14章 契り夜



「あの、えっと……私よ」



リリアの声だ

レオンは目を閉じて深く息を吐くと、立ち上がって扉を開けに行った



「まだ起きていたのか。悪いが今夜は……」



共にいられない、と言おうとして言葉が途切れる

リリアの体は震え、それを止めるためか噛んだ唇には血が滲んでいた

どう見ても寒さ故ではない



「……どうした」

「私……私…怖いの」



一体何が怖いというのか



とにかくレオンは怯える彼女を優しく抱き寄せた



「ミゲル」

「ああ、分かっている」



それだけ言葉を交わし、リリアを持ち上げる



「え……」

「ここは冷える。話は部屋でゆっくり聞いてやろう」

「でも……」



リリアが何か言う前にレオンはさっさと歩き出してしまった







「……ごめんなさい、邪魔をして」

「別に構わない。後はミゲルが何とかするだろう」



リリアをベッドに降ろすと自分もその横に腰掛ける



「それで? 何がそんなに……!?」



レオンが問い掛ける前にリリアが彼の胸に顔を埋めてきた

彼女の方からする初めての行為にレオンは驚いた顔をする



「死なないで……」

「何……?」


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