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果てのない海に呑まれて
第17章 細波
「部下は主人に似るって本当ね」
わざとらしく大きく呟かれた言葉に一瞬固まるミゲル
リリアはそんな彼をちらりと見やると、二人より先にさっさと行ってしまった
「……おい、一体あいつにどんだけのことをしたんだ」
とばっちりを喰らったミゲルは怒りの矛先を主人に向ける
「別段何もしていない」
「じゃあなんであんなに怒ってるんだ」
「さぁ? でも可愛いじゃあないか」
「何処が! わざわざ皮肉を言ってくるのがか?」
「私に素直になれない、と言った。つまり心の中では私を求めているということだ」
「……ハァ…お前の頭の中はお花畑か」
レオンはどういう意味だとミゲルをじろりと睨んだ
ミゲルは気付かない振りをしてその前を通り過ぎる
「これから仕事だ。そんな心持ちだとあっという間に喰われるぞ」
「ハッ、誰に言ってる」
互いに憎まれ口を叩き合いながら、それでも笑っている二人
和やかな風景ーーー