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果てのない海に呑まれて
第17章 細波



「……っ!?

あいつ……!」



ジェーニオの指す方向を見れば、そこにはリリアのドレスの裾を上げようとするミゲルと、慌てふためくリリアの姿があった



急いで彼らのもとに戻る兄を見送ることもせずに背を向けるジェーニオ



「…くだらない……」



そう呟いてさっさと馬車に乗ってしまった



******************************



ガタンッ



道の小石に跳ね上がる馬車の振動にハッとし、ジェーニオは大きく舌打ちをした



「も、申し訳ありません、ジェーニオ様」



それを聞き付け焦る馭者。



「……」



ジェーニオは何も言わない















'ファルツの為に'





"兄上は何も分かってない"



かつての自分を棚上げにしたその言葉が気に食わない

本当にその意味が分かっているのなら、あんな風に楽しく笑ってなどいられないはずだ










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