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果てのない海に呑まれて
第18章 訣別
船に乗り込み、いよいよ出発という時になってもリリアの機嫌は直らなかった
港で見送るニノたちには笑顔で手を振り返すのに、レオンが少しでも近付けばツンとそっぽを向いてしまう
「……ククッ」
無視されているというのにレオンはどことなく楽しそうだった
初めて会った時とは違う、可愛げのある反抗
もうしばらくはこのままで−−−向こうが素直になるのを待つか
あるいは無理やり押し倒して観念するまで虐めてやろうか
前回より余裕のある分船の中をゆっくりと見て回る彼女を眺めては笑う
「……レオン、少し話がある」
そんな彼に、側付きからお呼びがかかった
仕事の顔をしている
レオンは少し面倒臭そうにため息をつくと名残惜しげにリリアを見、仕方なくミゲルと部屋に入って行った
「話とは何だ」
机を挟んでミゲルの向かいに座りながら冷静に尋ねる
「リーディエに着いてもお前は港に降りるな。ここにいろ」
「……おい」
呆れているのか怒っているのか、レオンは無表情になってミゲルを見上げた
「それでは私が来た意味がないじゃないか」