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果てのない海に呑まれて
第18章 訣別

少し迷いながら始められたリリアの言葉は、レオンの手によって素早く制された
「……?」
一瞬前まで柔らかかった顔は警戒するように遠くを見つめている
リリアも反射的にその方向を見るが、彼女の目には何も見えなかった
「レオン……?」
レオンはサッと身を翻すと、同様に異変を察知したミゲルの元へ向かった
「……商船か?」
リリアに聞こえないよう小声で尋ねる
「分からない。だったらどうする」
「ただの商船ならやり過ごせ。
だが……どうも様子がおかしい」
「ああ」
彼らの言う通り、二つの船はもうリリアでさえ分かるほど近付いていた
互いが真っ直ぐに向かい合っていなければこのスピードはありえない
偶然ではない−−−
そう思わせるのは、その船から発せられる殺気のせいだった

