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果てのない海に呑まれて
第18章 訣別



「特に深い傷もなかったし、熱もない……大丈夫そうだな」



レオンはリリアの頬に触れながら少し安心したようにため息をついた



「……あの男はどうやって入ってきた?」



あの男、とはリリアを人質に取った男のことだ

リリアはレオンに分かるように顔を例の小窓の方に向けた



「そうか。……何も…されなかったか」



不安げに、そしてリリアを危険な目に合わせた自分を責めるように声を震わせるレオン

そんな彼を安心させるようにリリアは笑った



「本当か?」



それでもなお覗き込んでくるレオンの目を見つめしっかりと頷く

事実、動きを封じられた以外は何もされなかったのだ

楽しみは後で取っておこうとしたのか−−−何か他の意図があるのか





とにかく−−−



「この船は明日の朝まではここに停めておく。暗闇では他の船も動けないから、安心して眠るといい」



レオンはリリアを寝かせると自分も隣に横になる



「……どうした。早く寝ろ」



だが彼女はじっと自分を見つめて全く寝る気配がない

その時、リリアの唇が小さく動いた



「……?」



掠れた声を聞き取ろうとレオンは顔を近付ける


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