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果てのない海に呑まれて
第20章 違われた約束
耳の奥に響く嫌な音にリリアは強く目を瞑った
「……っ」
「本当に甘いな、お前達は……それがドン・リーディエのやり方か?」
余裕のあるレオンの声におそるおそる目を開けてゆく
そこには、狙ってきた男のエモノを受け止める金色《コンジキ》の剣《ツルギ》があった
“……?”
レオンは一体いつ武器を抜いたのか。
両の手はリリアに触れていたし、そんな素振りがあれば流石に気付くと思うが−−−。
いや、彼のナイフはまだ確かに腰に提がっている
カンッ
防がれた相手が驚いた隙をついてレオンが短剣を弾いた
敵の武器はくるくると回転しながら落ちていき、古びて脆くなった床に突き刺さる
“……ぁ”
構え直された短剣を見てリリアはあることに気が付いた
腿に付けられていた短剣がない
レオンは何もかも分かっていて、わざと服を脱がさずに布で隠したりしたのだ