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果てのない海に呑まれて
第20章 違われた約束
「いえ、違うのなら良いのです。つまらない邪推をして申し訳ない」
「いやいや、此方こそ質の悪い悪戯をしてしまったな。此れでは何と言われても文句は言えまいよ」
「ではアウスグライヒとリーディエ……これからも良い関係を築けるよう。私も陰ながら尽力致しましょう」
互いに笑い合い、このまま別れの挨拶にーーー
「ああ、申し訳ないがその者たちの縄を解いてやってはくれまいか。儂の悪戯に付き合わされた可哀想な男たちだ」
「……」
「友好の証としてな」
「…そうですね、友好の証に……」
レオンは隣の側近に頷いて二人を解放するよう合図した
「貴公は大変に優れたものを持っておる……お父上も優秀な御子息にさぞ鼻が高いであろう」
「……いえ、私は父の悩みの種ですよ。
此方の方こそ、父に貴殿がどれほどの器の持ち主であるかしっかりと伝えておきましょう」
最後にもう一度一礼し、扉の側へと振り返る
リリアも他の多くと同じように向きを変えようとした