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果てのない海に呑まれて
第20章 違われた約束
「つまりは現当主の? あるいは次期、か?」
「まぁそんなところです」
「ふむ……それにしては貴公に随分と情報が流れていたようだがな」
「……フ」
その空気を先に壊したのは、レオンだった
「そこまで分かっていながら何故本気でこない?」
「本気だと? 何の為のだ?」
「おいおい、目の前に証拠があるのにしらばくれても仕方がないだろう」
と捕えた二人を顎で示す
「私を殺そうとしただろう……全く相手にならなかったがな」
「はは、は……」
図星なのか、動揺を隠すようにドンは乾いた声で笑った
「ファルツの当主になるという者にどれほどの気骨があるか試しただけだ。若者を苛めたくなるのが老人の性でね……」
「ふん、私が当主になったら困る癖に。リーディエ贔屓の我が弟の方が貴殿にとって都合が良い……傀儡にでも仕立てるつもりだった…かどうかまでは分からんが」
「馬鹿なことを……」
言いながら視線を外すその姿は、これ以上問い詰めるまでもない
レオンはそんな彼を少しの間黙って見つめた後、フッと笑って元の雰囲気に戻った