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果てのない海に呑まれて
第21章 寄せては返す–––
悲鳴は短く、すぐに途切れた
胸を貫かれた男が口から血を吐きながらどうと倒れる
「…っあ……」
リリアは恐怖で動けなかった
レオンの背後に立った男を襲ったのは、ミゲルが投じた短剣。
それはリリアの目の前を掠め、見事にその息の根を止めたのだった
「……謀ったな」
ほんの僅かな沈黙の後、嗄れた声が響いた
ドン・リーディエがものすごい形相で−−−わざとらしいほどの怒りを露わに此方を見ている
「……ルチアーノ、リリアを連れて外へ」
「は……」
死体から目を離せずにいるリリアの肩を寄せ、ルチアーノが部屋を後にする
ミゲルと擦れ違い樣、頭を下げるような仕草を見せた彼にルチアーノは小さく首を振った
「さて……」
「此方が示した友好の証がこのような形で返されるとは……よくも貶めてくれたものだな」
「まさかそのようなつもりは。これはあの娘が……あれは私が最近側に置いていた者なのですが、どうにも私に恨みがあるらしく……彼女を狙った部下が誤って起こしてしまったことです。
本当に申し訳ない」
レオンはドンの前まで行くと、その場に跪いた