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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
「ジェーニオ……お前何故ここにいる」
リリアと二人きりの時間を邪魔されると分かってレオンは明らかに苛立っていた
「別に? ここはファルツの土地なんですから、僕が来たって何の問題もないでしょう」
「自分は完全なファルツの人間ではないからと、この場所に来たがらないのだと思っていたが」
「ええ、思ってますよ? でもあまりに兄上や母がファルツとしての自覚を持てとうるさくするものだから……先ずはここからと思いまして」
そう言ってにこりとする彼の笑みは、それが本音ではないことを語っていた
「レオン様、ワシらは向こうの小屋に行きますんで、少し狭くはなりますがこちらで……」
「いや、いい。私たちが其方に行こう。その方がジェーンも気が楽だろうからな」
「レオン、そんな言い方……」
いつも以上に冷たい扱いをするレオンにさすがにリリアが止めに入る
「いいですよ。兄上の好きになさって下さい」
だがジェーニオは気にも留めない様子でその案を受け入れた