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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で



「ミゲル様!」

「……」



丁度外に馬を繋ぎ終えたところだったミゲルは、期待するような弾んだ声に軽くため息をついた



「俺にそんな態度を取る必要はないと、何度言ったら分かる」

「でも……」



尊敬する相手には当然敬意を払って然るべきだろうと、ニノは困ったように目を泳がせる



「……それで、何の用だ」

「剣の稽古をつけて下さい!」

「駄目だ。それも何度も言って聞かせたはずだ」



尋ねながらもなんとなく答えを予想していたミゲルはすぐにニノの頼みを斬って捨てる

だがニノもそう簡単には諦めなかった



「オレもあんたみたいに自分の主を護りたいんだよ! あんたとレオン様みたいになりたい!」



なぁ頼むよ、とまだまだ感情的になると口の悪さが抜けないニノは懇願する



「主とは誰だ」

「えっ?」

「お前は誰を護りたいというんだ?」



そんな彼にミゲルもいい加減しっかり向き合おうと真っ直ぐに彼と目を合わせた



「そ、そんなの…レオン様に決まって……」

「あいつの周りにはもう充分人がいる。お前如き加わらなくても何の問題もない」

「……っ」


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