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果てのない海に呑まれて
第22章 移ろいゆく薔薇の中で
「俺はたまたまレオンやフェリペ様と歳が近かったから、何かにつけ相手になるということも含め側近になった。もしファルツ家にお前と同じ歳頃の人間がいたらお前の望み通りにしたかもしれないが、今はその必要性がないんだよ。
お前はしばらくファルツに仕え、自分で身を立てられるようになったらファルツで得たものを使って外で生きていくんだ」
抗えないその口調にニノはぐっと息を呑み、俯いた
「…っ……分かり、ました……」
「護身術なら教えてやる。いつでも来るといい」
ニノは小さく一礼すると、下を向いたまま寝屋の方へと走って行った
「……ハァ」
「随分と慕われているじゃないか。昔は可愛げのない生意気なガキだったくせに、成長したもんだな」
「……別にいいだろうっ。それにあれは向こうが勝手にそうなっただけだ」
木の間から姿を現したルチアーノにミゲルは少し耳を赤くする
「だが何故あの子が護衛になりたがるのをそこまで拒む?
厳しく教えて、その上であの子がやめるかどうかを自分で判断させたらいいじゃないか」
「……そんな簡単な話じゃないんだ」