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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
「あ……」
「おいおい、いくらなんでもこんな場所でイチャつくのは勘弁してくれ。落ちても責任取れないぜ?」
苦笑しながらそう言うクリスのがっしりとした腕は、自然とリリアに安心感を与える
「ご、ごめんなさい……」
謝りながらもホッとしながらマストまで引き上げてもらう
「……」
「何だ、元はと言えばお前のせいだろ」
「別に何も言っていない」
とはいえ後から登ってきたレオンのその顔は彼の内心を推し量るには充分だった
「素晴らしい眺めね。もう陸があんな遠くに……ああ、向こうの方にソーサレス半島が見えるわ」
「ヴィークを出ればもっとすごい世界が広がっている。どこまで行っても周りは海。あるのは空と海と自分だけだ」
「え…ヴィークを出る……?」
リリアはクリスの言葉に自分の耳を疑った
そんな彼女の様子を悟ったのか、レオンが横から説明してきた
「こいつはフィナルの向こう側に滝などなく、ヴィークの外にはまだ海が続いているんだと思っている」
「ええっ!?」
「本当、素晴らしい想像力だよ」
「想像じゃない! 実際滝なんて見ずに戻って来た奴らが何人もいる!
ヴィークは“内海《メア・インテルヌム》”と呼ぶべきだよ」