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果てのない海に呑まれて
第4章 赤の魔物
「商船だー!」
その掛け声と同時に、一気に甲板が騒がしくなった
「旗を上げろ!」
レオンはそう叫んでからリリアを離すと海の方へと目を向ける
「……南の船だな」
「何……?」
リリアは訳が分からずおろおろしていた
甲板では乗組員たちが次々に武器を手にしている
「海賊じゃなくて商船なんでしょう? 何をそんなに……」
「お前は危ないから部屋に入っていろ」
レオンは何の説明もなしにリリアを自分の部屋に押し込んだ
「ちょっと待ってよ!」
抗おうとするリリアの目の前で扉が音を立てて閉じられる
“あれは……!”
その直前、レオンの背後で真っ赤な旗が上がっていくのがリリアの目に飛び込んできた
あまりの衝撃に扉の前で茫然と立ち尽くすリリア
その間にも船同士は近づき、
「かかれー!」
という誰かの合図でついに相手の船に乗り上げた
船が揺れ、部屋の外で悲鳴が上がる