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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
「すごいな! その滝はどれくらい大きいんだ!?」
幼い子供の疑問は尽きることがない
「さぁ……」
「なんだ、知らないのか?」
「見たことありませんから」
「じゃあなんで滝があるのは知ってるんだ? 誰が見た?」
「…誰も……見られるのは死人だけです」
答えながら、クリスは心の中に少し違和感を覚えた
そのことに少し顔をしかめた瞬間、レオンがそこをまっすぐに突いてきた
「変じゃないか! お前は誰も見たことないものを信じるのか?」
「い、いや…だって……」
「こんなおっきなものがなくなるなんてありえないよ! 絶対!」
「でも……」
クリスは困ってしまった
考えたこともない問い−−−答えのない問い
「……もしあるなら自分の目で見て見たい」
「ええっ!?」
真面目な顔で突拍子もないことを言い出したレオンにクリスは大声を上げた
「危険です! そんな……」
「でももしかしたら滝なんてないかもしれない……いや、ない」
「はぁあ!?」
「海の向こうには…ずっとずっと向こうには、このヴィークと同じに陸があるんだ。きっとこことは違う世界が広がってる」