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果てのない海に呑まれて
第23章 夢追う男
レオンにも年相応なところがある
クリスはどうしようかと少し悩んだ挙句、だだっ広い海を指差して言った
「見てください、レオン様。海はこんなにも広いんですよ」
「…そう」
「そうって、そんなんじゃ見えないでしょ! ほら、ちゃんと立って見てくださいよ!」
身分差も忘れて無理やりレオンの腕を引っ張る
「なっ…に、を………っ!?」
「……ね?」
「……」
「すごいでしょう?」
「……うん」
レオンは一瞬言葉を失い、ただそれだけを辛うじて口に出した
「…何も見えない……水しか……」
「海ですから」
「この向こうには何があるんだ?」
「えっ?」
先ほどまでの仏頂面は何処へやら、キラキラとした笑顔でクリスを見てくる
「えと……こっちは西ですから、フィナル海峡に続いていますかね」
「その向こうには?」
「は?」
「この海はどこまで続いてる?」
クリスは内心レオンのことをバカにした
そんなこと、自分は物心ついた時から知っている
「知らないんですか? フィナルの向こうには滝があって、海は全てそこから流れ落ちているんですよ」