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果てのない海に呑まれて
第24章 始まりは皆
これで良かったのだーーー
クリスは昔の彼を知っている
きっと、彼があんなにも思い詰める理由も。
もしかしたら彼の孤独を拭う術さえもーーー。
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「……良い子だな。ありゃあレオンも惚れるわけだ」
「もう用はないだろう。さっさと出て行け」
「なんだ、もしかしてお前も彼女が好きなのか?」
「そんなわけないだろう! ふざけるのも大概にしろよ!?」
ミゲルが怒鳴り、クリスはそこでようやく口をつぐんだ
「……やっとオレを見たな」
「何……?」
「ずっと目を逸らして、一本調子で喋りやがって。
気持ち悪いんだよ。最後に会った時もそうだった」
ミゲルは大声を上げ思わず振り返った一瞬前の自分を後悔した
「本当に、何をそんなに思い詰めてる? 何がお前をそんな風にしたんだ?」
「……」
本当に、なんだってお前らはーーー
お前も、リリアも。
人のことばかりなんだ
「あれから三年経った。もう話してもいいだろ?」
いや、それは俺も同じか
「……」
三年経っても、アイツのことばかりだーーー