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果てのない海に呑まれて
第24章 始まりは皆
中の水が全て甲板に流れ出す
「こら、なにやってんだ!」
クリスの父親ーーー船長が急いでやって来ると、息子に掴みかかるミゲルを見て怪訝そうに顔を顰めた
「……来いっ!」
「いてっ!」
船長はクリスの耳を掴み、そこままズルズルと舷縁の方へ引きずってゆく
「……一体何があった」
僅かに遅れてやって来たレオンがミゲルに訊いても何も答えない
「……」
レオンは何となくではあるが、ミゲルにも非があることを察した
バシャ-ンッ!
次の瞬間、海が大きな音を立てる
振り向けば、船上からクリスの姿は消えていた
「そこでしばらく頭を冷やせ! 上がったら甲板の水を一滴残らず拭き取っておけ!」
「待て待て、どうせならコイツも投げ入れてくれ」
「は!? レオン様、それは……」
レオンの発言に船長は目を丸くする
「喧嘩は両成敗だ。いいな、ミゲル」
「……はい」
ミゲルも仕方がないと既に反省の色を見せている
「で、では失礼して……」
船長はミゲルを軽々と持ち上げると、勢いを付けて彼を海へと放り投げた