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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
「あ…ああ……フェリペ…ぇ……」
「母上!」
「シャルロット様!」
気を失い後ろに倒れたシャルロットを周りの人間が慌てて支える
「……レオン様」
「…え……?」
「いかがなさいますか」
いかがなさいますかーーー?
なんだ、それは。
私にどうしろと?
私がこの始末をーーー兄上のように?
この兄のように、ファルツ家をーーー。
「…ぅ……」
悲しみ、焦り、不安ーーー。
混乱の中、レオンは込み上げる吐き気に口元を押さえた
「レオン……!」
「…ハァッ……大丈夫…だ……」
震える唇からなんとか声を絞り出す
「母は屋敷に……兄は…ミゲル、お前が他の奴らを指揮して詳しく調べろ」
「……分かった」
命令を受けその場を離れたミゲルに代わり後からやって来たクリストフがレオンの傍に寄る
「すまない、クリス……」
「気にするな」
「いや……」
「……?」
ファルツのことなど考えていない、身勝手な自分。
突き放すような、母の言葉ーーー。
「もう、海には戻れない」