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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
蒼白な顔。
薄く開いた瞳。
それはまるで、物言わぬ彫刻。
「あにう…え……?」
優しい兄だった
心から尊敬していた
大好きだったーーー
「…兄上……」
バシッ!
「……!?」
触れようと伸された手は、 無情にも跳ね除けられた
「シャルロット様!」
ーーー母の、手によって。
「私の息子に触るな!」
「…母上……」
「お前などフェリペに触れる価値もない!
ファルツのことなどまるで考えていない…身勝手で……っ…お前にフェリペの代わりなど務まらない……この子の代わりなど……」
「シャルロット様、いくらなんでもそのような言い方……それも今…」
「私に指図するつもりですか!?」
諌めようとしたミゲルをシャルロットはギッと睨む
「ミゲル、そもそもお前は何故ここにいるのですか! 他の者たちは皆行方知らずだというのに、何故お前はその不肖の息子と共にいる!
お前はフェリペの側付きではなかったか!」
ミゲルの顔が僅かに歪んだ