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果てのない海に呑まれて
第25章 それぞれの選択
「……なんでだ。なんであいつを苦しめるようなことを!」
「五月蝿い、ここは教会だぞ。わめくな」
いつものように真っ黒な服に身を包んだミゲルと、いつもと違い真っ黒な服に身を包んだクリス。
「黙ってフェリペ様のご冥福を御祈りしてろ」
「……けっ、ケチュア人がオレ達の神様にオイノリかよ」
「……」
わざと酷い言葉を投げつけてみても、ミゲルはこちらを見向きもしない
「ハァ...文句があるなら俺じゃなくベルナルド様に言え。全てファルツの当主たるあの方が決めたこと。ファルツに仕えている以上…ファルツの人間である以上、そのご意志に従うべきだ」
淡々と語るミゲルに対し、クリスは感情を抑えようと強く拳を握り締めた
「ああ、お前はご立派だよ……たがオレはもうついていけねぇ。やりたきゃ好きにしろ」
ここで初めてミゲルはクリスの方を振り返った
「お前はレオンが苦しんでいるのを知っていて見捨てるのか」
「止めようとしたのを邪魔したのはてめぇじゃねぇか!」
「……そうだ」
だがすぐにまた目を逸らしてしまう
「俺は奴が苦しむのを分かった上で追い詰めた。それが奴の為になるからだ。
クリス……ーーー…」