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果てのない海に呑まれて
第26章 歪んだ憧憬
「……て。起きて、レオン!」
「…ん……」
レオンはうっすらと目を開け、まだ暗い外に顔を顰めた
「……なんだ…」
枕にその顔を埋めて子供のように不機嫌な声を上げる
「もうすぐクリスが出発する時間よ」
「ああ…そうだったな……」
ゆっくりと体を起こすと、寝癖のついた髪をかきあげ軽くため息をつく
「珍しいじゃない。私に起こされるなんて」
「夕べ遅くまで騒ぎ過ぎた……なんだ、その顔は」
滅多に見られないレオンの寝姿を堪能出来たリリアはそう言われて初めて自分がにやけていたことに気が付き、慌てて真顔になった
「べ、別に?」
「ふん、満足気な顔をして……だがどうせお前もミゲルに起こされたクチだろう」
「ぅ……」
ドアの前で腕組みするミゲルから察され言葉に詰まる
「は、早く準備して! 次またいつ会えるか分からないんでしょう?」
「ああ、分かった……すぐ行く」
レオンが支度を始めたのでリリアは後ろを向いてそれを待った