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果てのない海に呑まれて
第26章 歪んだ憧憬
「…ハァ......」
無意識に深いため息が零れる
この二日間、クリスの話を聞くのは本当に楽しかった
見知らぬ土地のこと。
これから行くであろう海の彼方。
そして、レオンやミゲルとの想い出もーーー。
「なんのため息だ、それは」
後ろから抱き締められ、耳元で少し怒ったように囁かれる
「というかお前は、今さら私が着替えるのを見るのが恥ずかしいのか?」
「それとこれとは別……きゃっ!?」
呆れながら腕を解いて彼の方に向き直ったリリアは男の立派な胸板に真っ赤になって跳び退った
「何してるの、早く服着て! か、風邪引くわよ!」
「こんな暖かい日に……」
「俺はクリスはどうでもいいが、お前の悪ふざけに関しては見るに耐えないな」
ミゲルの冷めた声が割って入ると、レオンもようやくリリアから手を放す
「わ、私外で待ってるから!」
そしてその隙にリリアはミゲルと共に部屋の外へと出て行ってしまった