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果てのない海に呑まれて
第27章 愛故に。
鮮やかな緑の草原
咲き乱れる色とりどりの花々
その中を行く一人の男
遠くには彼の家が小さく見える
「長いこと来てやれなくて悪かったな」
レオンは丘の上に一つ立つ墓碑の前で詫びた
「……寂しくはないか」
いつものように、返ってこない問いを繰り返す
あんなにも人懐こかったお前だ
寂しくないはずもない、かーーー
「…フローラ……」
少し苔生した表面を優しく撫でる
「一つ言っておくことがある。今回は土産がないんだ。
もう…私がお前の為に生きることはない」
お前は怒るか?
哀しむか?
「私を……恨んではいないか?」
レオンの声が震えた
初めて口に出して求めた答えだ
返ってくることはないがーーー
「そういえば前の航海の話がまだだったな」
レオンは妹の墓の前に座ると、小さく笑みを浮かべ語り始めたーーー