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果てのない海に呑まれて
第4章 赤の魔物
「いや……」
だがすぐに手を止め考え込むような仕草を見せる
「同情、かもしれないな……」
「家族を失ったことへのか? ハッ、お前が同情か……あり得ないな」
ミゲルは笑いながらもレオンに厳しい目を向けた
「いつもいつも、お前は無防備過ぎる。女が一人であの襲撃から逃げ出せたとは思えない。怪しいと思わないのか?」
「だが耳飾りは確かにギスタールのものだった」
「だからって……」
「とにかく!」
レオンは耳元の蝿を追い払うように腕を振る
「今は私の手の中だ」
「……その考えが甘いと言ってるんだ」
怒るミゲルにレオンは仕方ない奴だなとため息を吐く
そして苦笑しながらも手をミゲルの肩に置いた
「お前を信用しているからな」
「……っ」
「お前が見ていると思えば多少の無茶も出来る」
ミゲルは仏頂面のままレオンから顔を背ける
「……ああ、散々使えばいいさ。そのために俺はお前の傍にいるんだから」
レオンはその返事に嬉しそうに微笑んだ
「そうか、なら良かった。
では後の仕事は任せる」
「は!?」
「散々使って欲しいんだろう?」
レオンはそう笑って外に上がって行ってしまった
「……くそっ」