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果てのない海に呑まれて
第28章 天乱る〈ソラミダル〉
「このままではレオンもお前も苦しむだけだ。
俺たちはもう昔には戻れないんだから」
「…戻れない……」
それを聞いてリリアは哀しげに目を伏せる
自分が何をしようと、もう出来ることなどない
そういうことだろうか
「私、ちょっと…ごめんなさい……」
リリアはふらふらと立ち上がると、風に当たろうとマストに登って行った
レオンがそう指示したのか、敵船を見つける必要のない船に見張りはいない
リリアは一人、日の沈むヴィークの彼方を見つめていた
“あの海の向こうには何があるの……?”
クリストフの話を聞いてから、本当はずっと気になっていた
レオンだってそのはずだ
それなのにーーー
「……」
リリアは後ろを向き、暗くなり始めた海の果てに目をやった
“この先に、シエラが……”
今私たちはその夢に背を向け、過去に縛られている
故郷にーーー