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果てのない海に呑まれて
第30章 主の姿



“やっぱり俺には人を見る目がない”



街の中心部に位置する広場

今は自分たちと案内人以外には誰も見えないが、囲むように立つ建物の陰に殺気が一、二–––



“四人か”



立ち止まったケチュア人に、ミゲルは落ち着いて問い掛けた



「一つ訊く。お前たちの“今の”主人は誰だ」

「……?」

「今さら気付いてももう遅い」



訳がわからずミゲルを見たリリア

しかし周囲から現れた仲間–––いや、武器を持った敵に怯えた表情を浮かべる



単純に五対一なら、ミゲルであれば僅かながらの勝機もあっただろう

だがリリアを護りながらでは–––





「安心しろ。すぐに殺したりはしねぇさ」



先程までリリアを安心させていたそのケチュア人訛りで、男は恐ろしげな言葉を吐く










「会わせてやるよ。オレたちの長……カレル・フォン・サラディ様にな」









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