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果てのない海に呑まれて
第31章 交錯
ではあったのだが–––。
「ファルツ家がいくら“ヴィークの皇帝”と称されたところで所詮は薔薇売りの農家。
ただの駒……イヌに過ぎないことを忘れんなよ、ワンワン」
何も言わずに机上に視線を落とすレオンに満足したのか、カレルは思わず上げていた腰を椅子に戻した
「これを見てもなお、君は言い訳をするのかい?」
「いや……私がこの街からギスタール家の生き残りを連れ出し側に置いていたのは事実だ」
意外にもレオンはあっさりと白状した
目の前の金の耳飾りを見つめながら–––。
「……馬鹿だね、レオンは。誤魔化しきれると思っていたの?」
優しげな口調に戻り、そう問い質すそれはまるで子供を諭す親のようだ
「いや…そもそも隠すつもりもなかった」
その耳飾りは、レオンがリリアと出逢った日に外せと言ったもの。
付けていては身の危険を招くからと–––。