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果てのない海に呑まれて
第31章 交錯
自分と並んでその交渉術を認められたカレル・サラディ。
この男の得意技は相手を焦らして自滅させることだ
「……ハァ」
レオンは一度大きく息を吐いた
“私のやり方は……”
「ファルツは歴史こそあれ由緒あるわけではない。そこに住まう民の支えがあり、私たちもそれを市民として支える……アウスグライヒはそうして発展してきた」
“挑発と脅迫”
「ちょうどお前たちが、母の家に仕え支えてきたように」
「オレはもう市民なんかじゃない! 皇帝からも認められた正統な貴族だ!」
その挑発に乗るように、カレルは手に持っていたものを強く机に叩きつけた
「これは……!」
「そのオレをこんな形で裏切っておいて、よく澄ました顔でシエラに来られたな!」
「……」
レオンはカレルの血の気の多いのが弱点と知っていた
故に肩で息をするまでの彼の怒りは思惑通り。