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果てのない海に呑まれて
第31章 交錯
“まぁ…多少の番狂わせはあったがな”
「だがそうでもなかったようだ」
レオンはリリアから目を外すと、カレルたちの方に向き直った
「この女にももう飽きた。
こいつらが逃げた理由は私は知らん。ミゲルが勝手にやったことだ。そうだな、ミゲル?」
問われてミゲルははっきりと頷いた
独断で行動したのは事実だ
カレルへの説明は後でゆっくり考えればいい
「カレル、ファルツは皇帝に逆らうつもりなど毛頭ない。犬が虎に噛み付くはずがないだろう?
だが忘れないことだ。今も昔も、“ヴィークの皇帝”は我がファルツ家。
狐は犬の獲物だぞ」
そこまで言うとレオンはミゲルとルチアーノに合図すると、今日は帰ろうと暇乞いした
「……いいだろう」
カレルも手下に合図してミゲルの縄を解かせる
「土に隠した餌は好きに使うといい。その辺りの野良犬にくれてやるでもなんでも、な」
そしてレオンは最後にリーの方をチラリと見ると、リリアには笑みの一つも残さず去って行った–––