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果てのない海に呑まれて
第33章 傍に居たい人
「ここを離れたところで一体どうやって生きていけましょう。
家族にさえ見放された女になど誰も見向きもしないわ」
「俺たちのところに来れば良い。ケチュア人は侵略者は拒んでも、助けを求める者を突き放しはしない」
「あら、人質にでもするつもり?……そんなわけないわよね。私にそんな価値がないことはすぐに分かる。
でもそうじゃなきゃ相当のモノ好きだわ」
「……」
「…フフッ」
ブリジッタは黙ってしまったリーをからかうように笑った
「ごめんなさい、少し意地悪だったわね。
分かってるわ……その優しさが哀れみとも呼ばれる類であること」
「……否定は出来ないな」
自嘲めいた笑みを浮かべる彼女に、リーは正直にそう答えた
「それでも、たとえ哀れみだったとしても、ここでカレルに使われるよりマシなはずだ。
貴女があんな男の為に苦しむ必要はないんですよ」
「……フッ」