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果てのない海に呑まれて
第34章 退けない現実
仲間を見捨てずに彼女を救う方法はないのか?
「リー、どうするつもりだ」
二人の男が心配そうにテントの中に顔を覗かせる
「言っておくが、オレたちは何があってもお前について行く。いつだって戦う用意は出来てるんだぜ」
彼らは幼い頃からリーの一番の親友、良き理解者だ
「ただ周りはいつまでも待ってくれないぞ。お前がやっぱり戦わないと言っても、納得しない奴らは絶対いる」
「ああ…分かってる」
リーは立てた膝に額を乗せ小さく息を吐いた
「……」
二人はそっと顔を見合わせる
ここまで消沈した彼は初めてだ
リーは長の息子で行動力もある
一族の間で彼に力で敵うものはない
「いつもみたいに、直感で決めればいい」
頭を使うより、野生的な勘に頼った時の方が上手くいく–––彼らはリーがそういう人間であることを知っていた
むしろそうして意志を固めた時の彼にこそ、仲間はついてくるのだ