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果てのない海に呑まれて
第35章 始動
「レオン」
海からその光が消えようとする直前、ミゲルが戻ってきた
眉間には深く皺が寄っている
「どうした」
予想以上にしっかりとしたその返しにミゲルは安心すると同時に一瞬哀しげな翳が差した
「ケチュア人たちからの…リーからの伝言だ。
サラディ家に渡されたものは自分たちが頂くと」
「な、に……?」
それは余りに突拍子もない布告だった
「戦闘か、共闘か。それ以外に選択の余地はない」
揺れる水面が、月明かりを静かに映し始める–––