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果てのない海に呑まれて
第38章 為すべきことを成せ
「あの……」
「ところで、ミゲルはどうした」
すぐにいつもの様子に戻ると、レオンはそう尋ねた
「あ、それならだいぶ前に……」
口ごもる船員に眉を顰め先を促す
他の者たちも一様に罪悪感に満ちた顔をしている
「ケチュア人としてサラディ家に行くと」
「ケチュア人として……?」
レオンは顎に手を当て一瞬だけ考え込んだ
今回の件、黒幕はサラディ家ではない
まだ行動を起こしていない段階でファルツを敵に回すほどカレルは愚かな男ではない
とすればリーか–––
だがあの男は敵ではないと、自分の勘が告げている–––
「ケチュア人として……」
もう一度同じ言葉を呟く
”あいつもだいぶ無茶をする……”
自分ひとり、ここでゆっくりしていることは出来ないらしい
「ルチアーノ」
「はい」
「後のことは任せたぞ」
「……かしこまりました」