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果てのない海に呑まれて
第38章 為すべきことを成せ
頭を下げるレオンに、船員たちは慌てた
「やめてください! レオン様のせいじゃねぇんだ!」
「いや、私が早く決断していればこんなことにはならなかった。
自分のことばかり考えていたことを恥ずかしく思う」
レオンは再び謝ると布に包まれた男の遺体にそっと手を乗せた
「もう同じ過ちは犯さない……」
誓うように呟くと、サッと立ち上がった
「先ほど伝えたように、お前たちにはアウスグライヒに戻ってもらう。
もうすぐ航海の季節も終わる……十分に気をつけてくれ」
「何年船に乗ってると思ってんですか! オレたちがそんなヤワに見えますかい!?」
「そうそう、レオン様がいなくたって何とかならぁ!」
「お前それは言っちゃダメだって!」
ドッと笑いが船を包む
少し前までの重い空気も、レオンがいるだけでこれほど変わるのだ
だが当の本人は–––
「もちろん、分かっているさ……ただ念のため、だ。
これからもお前たちの無事を祈っている」
「……?」
寂しそうに笑うレオンに船員は目を瞬かせた
レオンといいミゲルといい、今日は何か変だ