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果てのない海に呑まれて
第40章 冷たい肌
「フッ…ハァ……」
チュ…
ジュルッ…
「冷たい…な……」
交わされる僅かな息の中に、そんな声が含まれた
リリアの動きが一瞬止まる
「何……?」
「肌…氷みたいだ……」
寒さなど感じなかったが、確かにカレルの体温は非常に熱く思えた
「心が冷たいから、かしらね……」
呟き返された言葉に、今度はカレルが動きを止める番だった
「なるほど……レオン仕込みか?」
「んー…どちらかというとミゲルかしら」
焦ることなくゆっくりと、リリアから体を離していく
その間もナイフの狙いが外れることはなかった
「……」
太腿に隠されていた短剣ベルトに目をやる
「賢く美しく、その上その大胆さ。女にしておくには勿体ないくらいだね」
猫を被ったような元の口調に戻りながら、カレルは本心からそう告げた
「だけど……お前に人が殺せるか?」
脅すような言葉。
切っ先が躊躇うように震える