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果てのない海に呑まれて
第41章 信じるもの
「……ん」
朝の冷たい風に、リリアは目を覚ます
起き上がり見回してもテントには誰もいない
「…髪……」
寝ている間に解けていることを不思議に思いながらも、リリアは立ち上がってテントの外に出た
「…ああ、起きたのか」
外に出ると大きな獲物を担いだミゲルが此方に気が付いた
「何してるの?」
「ケチュア人達の手伝いだ。世話になる以上、このくらいはしないとな」
「…それもそうね」
手伝い–––
そういう割に、周囲に彼らの姿は見えなかった
「リリア、少し話があるんだ」
テントの間からリーが顔を出しリリアを呼んだ
その視線はそのままミゲルの方にも向けられる
「ミゲル、少し彼女と二人きりにしてくれ」
「…好きにしろ。俺はこいつの保護者じゃないんだ」
「ああ、確かに……保護者は別にいたね」
フッと意味ありげな笑みを浮かべてから、もう一度真っ直ぐにミゲルを見る