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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬



時は戻る

ミゲルとリーがリリアを攫ってから数時間後、明け方–––



「……まさかお前がここまで醜態を晒すとはな」



苛立つカレルにお構いなくレオンは馬鹿にしたように言った



「フン、お前こそ……従者に先を越されたんじゃ世話ないな」

「先を越されたわけじゃない。あいつは優秀なんだよ」



“……?”



カレルは首を傾げた

まさかとは思うが、こいつ–––



「気付いていないのか?」

「……? 何にだ?」

「あの男はリリアに惚れてる」



レオンは一瞬無表情だったが–––



「プッ……ククッ」



直後、小さく吹き出していた



「ミゲルがあいつを、な……まぁ間違ってはいないだろうが。

あいつには何も出来ない」

「お前への忠誠心の方が優っていると?」

「そうじゃあないさ。……お前には一生分からないだろうがな」



思い出したように、ふとその眸が柔らかくなる



「本気で人を愛したことのない、お前には……」


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