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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬



「だから何だよ……」



もはやカレルはその言葉を鼻で嗤うようになっていた



「人を愛したからといって何が変わるっていうんだ?」



開き直って椅子に腰掛け、言ってみせろと顎で指す



「…だからお前は弱いんだ……」



そう言い放ったレオンの口調は優しく、その眸はリリアと同じ–––

彼を哀れんでいた



「私がリリアを選んだ理由が分かるか?」



初めて会った日から、知らぬうちに惹かれていたその理由が。



「強かったからだ。全てを喪ってなお己を貫かんとした。

強い者ほど、壊してやりたくなる。壊して、自分のものにしたい……」



初めて知った、性欲とも違う雄の欲望–––



「思い切り愛でて、私しかいないと思わせてやりたい」



独占欲という名の愛情。



“私は……”



「あいつを手に入れる為に、強くなれた」



兄も妹も喪った私に

この世界の美しさを忘れかけていた私に

あいつが生き甲斐を与えた

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