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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「強くなれた、だって……?」
今度はカレルが吹き出す番だった
「違う。お前は弱くなった。アレはお前の弱味だ。
だからオレに利用され、“ファルツ家”を危機に晒したんだ」
沈黙。
レオンは何も答えない
「本当にお前がファルツを棄てたなら……ファルツよりもあの女を取るというなら、ここから逃げろ」
カレルは立ち上がって部屋の扉を開けた
独りで生きていくことを覚悟した眸で
挑戦的にレオンを見てくる
「逃げればいい。愛した女をどこまで守り切れるのか、オレが試してやる。
オレが弱い? そうかもな……オレは何かに向き合って闘う勇気はない」
小賢しい男だと、自嘲する
「認めてやるよ。だがな……欲しいものはどんな手を使っても手に入れる。
どこまでも追ってもっと高みへ……それがオレの強さだ」
今出て行けば、レオンはきっとリリアの元へ行く