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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「自負、か」
テントの中からただ見ていたミゲルが、ようやく口を開いた
「そうだ。
我々こそ神に選ばれし者。神を蔑ろにする人間は罰を受けなければならない。
そう深く信じる者ほど、どんどん排他的になっていった。中には他国と争おうという者も出てきて、かつての争いを避けていた穏やかな性格は失われつつある。
それは違うと……全ての人間が消えるべき存在なのではないと証明するために俺や父は手を打ってきた。特にギスタール家をはじめとするシエラの人々の対応には皆胸を打たれたよ」
リリアと目が合い、リーは目を細めて笑う
「だがサラディ家が台頭してきて、あの傲慢な態度にはほとんどが失望した。やはり他の人間と友好関係を持つなど不可能だと去っていった。
実はここに残っているのは大体が選民思想の持ち主……文明的な人間を根絶やしにしようと血を騒がせている。
昨日の一件でなんとなく分かっただろう」