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果てのない海に呑まれて
第6章 新たな道へ
「クックッ……やはりいいな、お前は。その一筋縄ではいかないところが私を熱くさせる」
そして脅すようにリリアに顔を近付けた
「今の言葉、ミゲルに伝えてもいいか?」
リリアの目が遠くから此方を見るミゲルを端に捉える
ただ恐怖心を煽るだけのレオンよりも、実際にナイフを突き付けてくる彼の方が恐ろしい−−−
「クッ……冗談だ」
彼女の瞳に怯えが浮かんだのに満足してレオンは体を戻す
「そんなことを言ったら私もお前の傍にいられなくなるからな。
せいぜいお前に殺されるのを楽しみに待つとしよう」
最後まで笑って会話を終わらせるとレオンは後ろを向いた
「もう港に着く」
そう言う彼の方に目をやると、西日に照らされた美しい街がもうすぐそこに迫っていた
“色々ありすぎて気付かなかったけど……”
船の上から見える情景はなんて綺麗なんだろうか
光を正面から受けて輝く建物
キラキラと反射する海面がそれを一層煌びやかに魅せていた
それでいてその輝きは人が創り出すもののような鬱陶しさは全くなく−−−
リリアはその調和にすっかり目を奪われていた
「気に入ったか」