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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「……!」
だがその向こうには、黒く伸び上がった雲が立っていた
「…やっと気づいたか」
「あんなの…さっきはなかったわ……」
「風に雪の匂いが混じっていた。もうじきあの辺りは吹雪になる。季節外れの大吹雪だ」
神に愛された民族というのも、間違ってはいないのかもしれない–––
「ただな……」
あの丘から吹いてきたのか、冷たい風がレオンの髪を巻き上げる
その横顔は固かった
「あの黒雲、次は此方に来る」
「…え……?」
「急ぐぞ」
そして今度こそ振り返ることなく、彼らはシエラを後にしたのだった–––