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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「……舌を噛むぞ」
嗚咽を漏らすリリアに、速度を上げたレオンがそっと注意する
「貴方も…酷い……! 何も最後にあんなこと……!」
「……? 何の話だ」
なぜ責められているのか分からない
「わざわざ希望を持たせるようなこと言わなくてもいいじゃない……!」
人数も装備も、ケチュア人の方が圧倒的に不利。
もしかすれば全滅–––リーには二度と会えない
そんなこと自分でも分かる
それでも勇んで出て行く彼らを、あんな風に焚きつける理由なんてどこにも–––
「……そのことか」
ハァ、と嘆息するレオンにリリアはついカッとなった
「貴方には仲間への想いというものがわからな…っ……!」
「あれを見ろ」
彼女に構わずレオンは突如ラオフェンを止めると、今しがた別れを告げた丘の方を指す
相変わらず緑は太陽の下で鮮やかに風に吹かれ、争いの影もない