この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
日が暮れかけて、一気に周囲が冷えてきた
しばらく前から景色は険しい山肌に変わり始めている
「…夜も進むつもりか」
ミゲルが尋ねると、レオンはそのつもりだと頷いた
「一度身支度を整えておくか」
言いながら馬からは降りず、リーが用意した厚いマントを羽織る
「疲れるだろうが、我慢しろ。止まらず進めば一週間の行程が四日で済む」
一枚布で出来たそれは隙間なく二人を包み、リリアは安堵と共にフワリと微笑んだ
「大丈夫……」
貴方がいるから。
レオンに寄り添い、彼の体温を感じる
白い息を吐くリリアにレオンはまだ温かい飲み物を手渡す
そして自分はミゲルから受け取った干し肉を噛んだ
「……」
「……なんだ」
自分を見つめるレオンの視線に気付き、ミゲルが不機嫌な表情を浮かべた
「いや……やはり血は争えんな。そうしていると本当にケチュア人のようだ」