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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり




日が暮れかけて、一気に周囲が冷えてきた

しばらく前から景色は険しい山肌に変わり始めている



「…夜も進むつもりか」



ミゲルが尋ねると、レオンはそのつもりだと頷いた



「一度身支度を整えておくか」



言いながら馬からは降りず、リーが用意した厚いマントを羽織る



「疲れるだろうが、我慢しろ。止まらず進めば一週間の行程が四日で済む」



一枚布で出来たそれは隙間なく二人を包み、リリアは安堵と共にフワリと微笑んだ



「大丈夫……」



貴方がいるから。



レオンに寄り添い、彼の体温を感じる

白い息を吐くリリアにレオンはまだ温かい飲み物を手渡す

そして自分はミゲルから受け取った干し肉を噛んだ



「……」

「……なんだ」



自分を見つめるレオンの視線に気付き、ミゲルが不機嫌な表情を浮かべた



「いや……やはり血は争えんな。そうしていると本当にケチュア人のようだ」


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